大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和26年(れ)2233号 判決 1954年2月25日

本籍並住居

兵庫県飾磨郡糸引村東山四三九番地

無職

沖中丈彌

昭和二年一月三〇日生

右に対する有価証券偽造同行使、私文書偽造同行使、公文書偽造同行使、詐欺被告事件について、昭和二六年六月三〇日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人鍛治利一、同松田登米一の上告趣意第一点乃至第三点は、単なる訴訟法違反の主張であり、同第四点も単なる訴訟法違反の主張であり(原判決が証拠とした所論被告人に対する検事の聴取書が適法な証拠調を経ていることは、原審第一回公判調書中に検事の各関係人に対する聴取書を読聞け意見弁解はないか、利益の証拠があれば提出することができると告げた旨の記載があることによつて明白である。)、同第五点は、原判示に副わない事実関係を前提とする法令違反の主張であつて、(所論原判決の判示(四)には、兵庫県知事の印影を偽造しと判示し、証拠として証第四号をも引用している。そして、印顆によらずに、赤鉛筆を以て印影の輪郭を画いても、印影の偽造となるこというを俟たない。)、すべて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を精査しても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩松三郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例